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180°逆の発想で社会が良くなったポジティブ・チケット

Mar 1, 2021 | social business

社会やコミュニティを形成する上で欠かせないのが、ある一定の基準に沿ったルール作りです。大きな社会で捉えると行政、司法、立法、小さな社会で考えると各地域、自治体におけるコミュニティルール、規制などです。

規制』と言われるとなんだか自由を奪われているように感じ、人によってはマイナスイメージ、窮屈に捉える方もおられるかもしれません。実は自分もその内の1人であり、古い慣習や理由なき暗黙のルールなどにブチ当たると、改善点があるんじゃないかな?と感じてしまいます。

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今回紹介するのは、カナダ警察が取り組んだソーシャルグッドなアイデア『ポジティブ・チケット』です。悪い行いをした人を取り締まるのではなく、良い行いをした人を事前に取り締まるといった、180°逆転の発想から生まれたルールとコミュニティ作りです。

チケットはレストランでの食事、映画館やテーマパークへの入場などに使える

まず初めにここで言う”チケット”とは、法を破ったときに警察官が出す罰金のことです。駐車違反でチケットを切る、などとも言いますね。

Catch People in the Act of Doing Things Right.
良い行いをした人を捕まえる。

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ウォード・クラッパムの仕事はまさに、しくじった人を捕まえることである。彼はカナダで3番目に大規模な警察組織、ブリティッシュコロンビア州リッチモンドの王立カナダ騎馬警察隊を率いることになった時、青少年の犯罪と不良行為への対処を迫られた。何とかしようと考えついたのが、「ポジティブ・チケット」と呼ぶ革新的な方法だ。

当然のことだが、配下の警官たちは法を犯した少年たちを検挙し出頭を命じる。しかし同時に、トラブルから身を遠ざけている非行予備軍や、学校やスケート場での小さな善行によって世の中を少しでもよくすることに貢献している青少年を見つけることにも精を出す。そうした現場を見つけると、「ポジティブ・チケット」を切る。チケットはレストランでの食事、映画館やテーマパークへの入場などに使える。クラッパムは著書Breaking With the Law (未訳)でこう述べている。「悪いことをした子どもではなく、いいことをした子どもを捕まえる。これがポジティブ・チケットという概念である」

Harvard Business Review 2014.04.16
誰もが善い行いをしたくなる組織をつくる方法

良いことを率先して行うとチケット(お金)がもらえる。そしてもらったチケットは地域の飲食店や映画館、テーマパークの割引券として使うことができ、街の経済も活性化する。叱って人を教育するのでなく、人を褒めて伸ばす心理学を上手く活用した取り組みと言えます。

悪を逆手にとり社会を良くするソーシャルグッドな取り組みとして、各国多くのメディアがこのポジティブ・チケットを取り上げました。

コミュニティの変化

Harvard Business Reviewによるところ、リッチモンド警察官が発行したポジティブ・チケットは4万枚にも上りました。同年に警察官が違反者へ切ったチケットが約1.3万枚だったので、ポジティブ・チケットは違反チケットの3倍にも及ぶ数となりました。言い換えると、通常より3倍もの小さな善行が街で行われたと翻訳できます。

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気になる結果ですが、事前に良い行いを取り締まることで、同都市における少年犯罪に関連した通報は例年に比べなんと半減したそうです。また街における人との関わり方にも変化が見らました。

リッチモンド警察のウォード・クラッパム氏は次のように話します。

嬉しいことに、駐車場のパトカーに大勢の子どもたちが集まってくる。私の姿を見て逃げ出すのではなく、駆け寄ってくるのだ。私をハンターではなく、友だちのように感じてくれている。

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愛知県豊川市の事例

実はこのポジティブ・チケットプログラム、愛知県豊橋市の地方自治体でも取り入れられています。

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諏訪一部町内会では、地元の小学校と商店街が連携し、地域行事に参加したり、良い行いをするとポジティブ・チケット発行し、ポイントは商店街の景品と交換できる仕組みを行いました。児童とその保護者の地域行事への参加が増加し、コミュニティの活性化につながっています。

また地方自治体の議会・首長等や地域主権を支える市民等の優れた活動を表彰する「マニフェスト大賞」も受賞されているようです。

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逆転の発想で成功した他ソーシャルビジネス

他にも似たような事例が日本含め、海外にも多く存在します。この記事を読んでいただき、少しでもソーシャルビジネスに目覚める母数が増えれば良いなと思いシェアさせていただきます。

🚯ゴミを野菜に変えるグリーン・エクスチェンジ(ブラジル・クリチバ)

😑固定的な概念:ゴミ回収は行政・市の仕事
😳180°逆の発想:ゴミと野菜を交換し、市民が街を綺麗にする

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ごみ収集車が回収に行く際、紙や空き缶やプラスチックなどのリサイクルごみをもっていけば、野菜などの食料と交換できるようにしました。ごみと野菜の交換比率は重量で4対1。ごみを4キロもっていけば、1キロの野菜と交換してもらえます。

スマートシティを実装するブラジル・クリチバ市

💸お金が貯まるエコバッグ「ペニー」(ドイツ・ミュンヘン)

😑固定的な概念:レジ袋は有料なもの
😳180°逆の発想:エコバッグ持参でキャッシュバック+寄付

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ペニーはレジ袋削減に対応するべく、ある施策に乗り出します。多くの事業者がレジ袋有料化に移行していた中、ペニーはエコバッグ持参でお金が貯まる施策=買い物ごとに10セントがキャッシュバッグサービスが受けられる逆張りなキャンペーンを打ち出しました。

お金が貯まるエコバッグ?消費者意識を掴んだ最もエコなエコシステム

💻貧困解消プログラミングスクール『Pursuit』(アメリカ・ニューヨーク)

😑固定的な概念:プログラミングスクールはお金が掛かるもの
😳180°逆の発想:高品質なプログラミングスクールを無料で提供

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貧困層を対象にしたNPO団体のコーディングスクールを開設し、ウェブデベロップメントやApple & Androidアプリ開発言語の教育支援を始めました。無償授業を受けれる生徒対象者は、18歳以上、年間所得が$40,000以下の人たちが対象です。また公的住宅に住んでいる人や、学校で昼食の無償化や割引の措置を受けている人、Make the Road New Yorkなどの移民コミュニティを積極的に支援しています。

【ソーシャルビジネス】NYCの貧困解消プログラミングスクール『Pursuit』

まとめ

マイナスをプラス以上の価値に変えるソーシャルビジネス。紹介したもの意外にも、まだまだ多くの事例はあることかと思います。これら成功事例を知ると社会課題解決には実行力に加え、世に広めるクリイエイティブな要素の両立が大事だなと感じました。