資金調達実施、シリーズ〇〇、時価総額〇〇円突破。米国シリコンバレーを情報の震源地に、これらワードはスタートアップ界隈ではよく耳にする言葉かと思います。創業から10年以内、未上場、時価評価額が10億ドル(日本円で約1,000億円〜)を超える企業はユニコーン企業と呼ばれ、既存市場をディスラプトする役割として、国を上げた支援も広く浸透して非常に注目を集めています。
ただ最近ではユニコーン企業とは相反する思想で事業を創造する『ゼブラ企業』がユニコーン企業を超える勢いで注目され始めてきています。今回は社会起業家が目指したい、ゼブラ型スタートアップの特徴やその役割にについて紹介します。
社会課題の解決と企業利益との両立を目指すスタートアップ
ユニコーンとはヨーロッパの歴史上で空想された架空の動物であり、日本語で言う一角獣です。2013年ごろ米国ベンチャーキャピタリスト・エンジェル投資家のアイリーン・リーが比喩的な表現を用いて発案しました。
資本主義経済のルールに則り、短期的に急成長をして株式上場やイグジット(M&A)をするユニコーン型スタートアップは一見華やかに見える一方、株主第一主義が用いる弊害により倫理観や道徳感が失われ、マネタリー経済のみで評価される側面は否めません。
そんな中、最近ではこの新興市場のアンチとして生まれた*ZEBRA(ゼブラ)企業と呼ばれる社会起業家たちが世界で注目され始めてきています。ゼブラ型のスタートアップ企業は社会的課題の解決と利益確保の両立を念頭に事業を運営し、加えてコミュニティ・地域との関係性を大切に共創社会を持続的に創っていくことを使命としています。
共助・共創の実現へ向けたプラットフォーム協同組合とは
では、ゼブラ企業とは一体どんな会社なのか。
ゼブラ企業の中には既存の会社とは異なる組織形態をとる会社が多く見受けられます。その一つがプラットフォームを皆んなで所有する*協同組合(コープ)です。これが意味する大きな特徴としては、株主や経営層だけが利益を搾取するのではなく、従業員やサービスを利用するユーザー自身も出資者となることで経営に加わり、意思決定時におけるフェアな取り組みができる点です。
実際、このゼブラムーブメントを起こしたZebra Uniteも協同組合です。
あらゆる産業が次々と生まれる資本主義位経済のシンボルと言えるアメリカでも、株式会社以外の組織形態が増えています。例えばBコープ、PBCと呼ばれるステークホルダー第一主義を唱える組織などです。
【良い会社認定 その2】世界で広がるソーシャルグッド&ベネフィットコーポレーション
アメリカのニュースクール大学教授トレバー・ショルツさんは、21世紀以降のデジタルネイティブな時代に沿った協同組合の在り方を「プラットフォーム協同組合(Platform Cooperativism)」と定義し、プラットフォーマーに搾取されない新しい働き方を提示しています。
では、具体的にどんなサービスがあるのか、どんな会社をプラットフォーム協同組合と呼ぶのか、なかなかイメージをしにくいと思いましたので次以降でいくつか事例を紹介します。
海外事例に見るプラットフォーム協同組合
REI – アウトドア商品の協同組合
FairBnB – コミュニティファーストの民泊
Open Collective – オープンソースプロジェクトを財政面でサポート
まとめ
2020年以降、日本でもゼブラ企業と呼ばれる社会的企業の増加やそれを支援する公的機関が増えてきました。この時流に加え、海外の先進的なアイデアと先行事例が相重なり、株主第一主義からステークホルダー第一主義「ゼブラ企業」や「プラットフォーム協同組合」の流れは加速するだろうと感じています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC201J40Q1A620C2000000/
また、下記書籍は筆者の友人である「斎藤 隼飛氏」監修のもと世界のプラットフォーム協同組合の事例や有識者との対談を交えて書かれた本です。160ページと読みやすいボリュームの上、インターネットには載っていない内容を多く含んでおりますので、これから協同組合やブロックチェーンを学ばれる方々には有益な本だと思い最後にシェアさせて頂きました。