先日アウトドアブランドPatagoniaが展開するアウトレットショップ「Patagonia Surf Osaka」へ行った際、入った瞬間にこれにしよう!と直感で思った商品がありました。
それが、こちらのエプロン。
パタゴニアの食部門「パタゴニアプロビジョンズ」と、アルゼンチン人のMarcos MafiaとPaz Mafiaの兄弟で設立したバッグメーカー「マフィアバッグ」とのコラボレーションできた、100%リユース素材でデザインされた商品です。
https://www.patagonia.jp/provisions-x-mafiabag-upcycled-apron/857498006560.html
もともと廃棄される予定であったヨットの帆や、クライミングロープを再利用してデザインされたエプロン。ヨットの帆を使用していることから、水回りには相性が良いことや、耐久性は他のエプロンと比較して持ちが良いのは言うまでもありません。
コロナで世界が変わりステイホームが多くなったこともあり、家でいかにクリエイティブに過ごし、日常を楽しめるかは重要なこと。また製造過程の状況や、生産者とその先のコミュニティの方へ直接対価が届くと思うと、新品の商品を買うより、アップサイクル商品の方が人との繋がりが深まるとも思えます。
今回はアップサイクルブランド「マフィアバッグ」と、サステイナブルを引率するパタゴニアについて記事を書いてみました。
アップサイクルとリサイクルの違い
そもそも『アップサイクル』とは何なのか。
英語の意味からも推測できるように、使われなくなった価値の無くなったものを使い、新たな商品価値を生み出す=価値を上げることです。似て非なるリサイクルは、使わなくなったものを再利用するのは同じ概念ですが、当初の価値から下がることから、別名ダウンサイクルと呼ばれたりもします。
わかりやすい例で言うとTシャツを古雑巾にする、などです。
冒頭で紹介したエプロンは、使用しなくなったヨットの帆を再利用し、デザイナーの要素が入ることで価値がグンッと上がります。一点一点職人さんが手作りしていることに加え、デザイナーの感性による素晴らしい仕上がりのお陰で唯一無二のエプロンが誕生し、それが新たな顧客のもとへと運ばれていきます。
また再利用素材を使用した1点もののため、色やデザインは一つずつ異なることでオンラインショップではカラーが選べず、希望のカラーが欲しければ直接店舗へ足を運ぶしかありません。ネットショップが当たり前になった世の中で、逆を行く発想がまた面白いところです。
環境を配慮したアップサイクルバッグ_マフィアバッグ
マフィアバッグブランドは南米アルゼンチンで生まれました。創業者はMarucos MafiaとPatz Mafiaの兄弟といったファミリー経営スタイル。パラグライダー、ウインドサーフィン、カイトの帆などのアウトドアスポーツ仕様の素材でバックや財布などを作り、素材は主に寄付で集められています。
(Marcos MafiaとPaz Mafia兄弟)
2014年には世界最大手のクラウドファンディング、Kickstarterでプロジェクトをローンチし、出資金を集めアルゼンチンからアメリカ市場への進出も果たしています。主にアルゼンチン、カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とし、工房で手作業で製作され、一生涯保証をしていることからマフィアバッグが存続する限り、永久保証(無期限保証)も付いてきます。
お店の価値と商品の価値
マフィアバッグ × パタゴニアプロビジョンズのエプロンを購入する際、パタゴニアの店員さんがきめ細かに商品のストーリーを語ってくれました。帆はサンフランシスコから寄付されたものだよ、クライミングロープは中身の芯を抜いて柔らかく仕立て直してるんだよ、ポケットにはリユースのPatagoniaジャケットの切れ端を使ってるんだよ、などなど。
インターネット上にも情報は書いてあるのですが、店員さんの熱意のこもった表現を聞くと、また一味違った感覚で商品を見つめることができたことは記憶に強く残っています。
アウトドアでみっちり役割を果たした個々の商品が集まり、新しいプロダクトとして息を吹き返し、アウトドアフィールドでガンガン再度使われる。それぞれのストーリーや情景が頭に浮かび、想像力を掻き立てると何だかワクワクしたことを思い出します。
と、同時に店舗の新たな役割についても考えさせられました。ものを購入するだけであれば、ネットショップが断然便利だしお得。店舗販売では太刀打ちできません。
Patagoniaで強く感じたのは、コミュニティを意識した接客。例えば同じアウトドアの趣味の話しで盛り上がったり、行きつけのサーフスポット周辺のローカル情報やご飯屋さんの情報をシェアしてくれたり、先週行った波情報の写真を見せてくれたり、と。
なんだか買い物をする感覚からは遠ーく離れ、店員さんとのコミュニケーションを楽しむ空間、そんな心地よい空気がそこにはありました。