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【良い会社認定 その2】世界で広がるソーシャルグッド&ベネフィットコーポレーション

Aug 29, 2020 | social business

前回の記事では「Certified Benefit Corporation=Bコーポレーション」について紹介しました。

【良い会社認定 その1】世界で広がるソーシャルグッド&ベネフィットコーポレーション

今回は、アメリカのみで認められる法人形態「Benefit Corporation Governance=ベネフィットコーポレーション」についてご紹介します。

国が認めた法人形態「Benefit Corporation Governance=ベネフィットコーポレーション」とは

米国内の26の州のみで法的に認められている法人形態の一種です。

ベネフィットコーポレーションが法的に認められた26州
Arizona, Arkansas, California, Colorado, Connecticut, Delaware, Florida, Hawaii, Idaho, Illinois, Louisiana, Maryland, Massachusetts, Nebraska, Nevada, New Hampshire, New Jersey, New York, Oregon, Pennsylvania, Rhode Island, South Carolina, Utah, Vermont, Virginia, Washington D.C.

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Benefit Statement(ベネフィット・ステートメント)

ベネフィットコーポレーションは、2010年メリーランド州で初めて法的に国で認められ、誕生した企業形態です。株式会社のように株主利益最大化だけを事業の目的とせず、働く従業員や取り巻く環境の利益も追求することを公約することが可能です。社会課題解決を目的とする企業や、ソーシャルビジネスが事業軸の企業にとっては大きなメリットになるかもしれません。

ベネフィットコーポレーションへの変更手続きについてはこちら

費用

ベネフィットコーポレーション公式ウェブサイトによると、州出願手数料$70〜$200が必要になるようです。なお登記する州によって申請費用は変動します。

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ベネフィットコーポレーション代表例(キックスターター)

「クリエイティブなプロジェクトに生命を。」をミッションに掲げ創業した米国発のクラウドファンディングサービスを提供するKickstarterは、2015年にベネフィットコーポレーションとして再登記しました。

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P=Public(パブリック)の意味。
Public Benefit Corporation(パブリック・ベネフィット・コーポレーション)

以下、Kickstarter Japan公式ブログより。

ベネフィットコーポレーションは、株主だけでなく、意思決定が社会に与えるインパクトを考慮することが義務付けられている営利団体です。社会に対するポジティブなインパクトは、ベネフィットコーポレーションの法的に定義された、根本的なゴールになります。会社がベネフィットコーポレーションになる際、会社は公約を追加することができます。Kickstarterの新しいチャーター(以下を参照)では、私たちのミッション、私たちのバリュー、そしてそれらを遂行するための公約を明確にしています。私たちは、これらのパブリックベネフィットを促進する努力の結果を報告する、ベネフィットステートメントを、毎年提出します。

3名のファウンダーたち
(左)Charles Adler(中央)Perry Chen(右)Yancey Strickler
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具体的なベネフィットステートメントは、以下の通りです。(一部抜粋)
ベネフィットステートメントは、毎年更新、そして公表されます。

1
Kickstarterの企業理念/ミッションは「クリエイティブなプロジェクトに生命を吹き込もう」
A

Kickstarterは、クリエイティブなプロジェクトに生命をもたらす助けになる、ツールやリソースをつくり、クリエイティブなプロジェクトや、クリエイティブなプロセスの周りの人々を繋げます。
B
Kickstarterは、エコシステムが健全であること、誠実であることを大切にします。
C
Kickstarterは、アーティストとクリエイターに関わる、より大きな課題と議論に、己の限界を超えて取り組みます。

2
Kickstarterのバリューを反映した運営方針。
A

Kickstarterはユーザーデータを第三者に絶対に販売しません。政府機関との取引を含め、サービスを利用する人のプライバシーの権利と個人情報を熱心に守ります。
B
Kickstarterの利用規約とプライバシーポリシーは、明確で、公平で、明白です。Kickstarterは、そうすることが可能で、業界の慣習だとしても、あらゆる未来の不慮の事故の可能性を援護したり、権利や権限を主張したりしません。
C
Kickstarterは、会社に経済的な利益があったとしても、自らのミッションとバリューに合致しない限り、公共政策やロビー活動を行いません。
D
Kickstarterは、納税負担を軽減するために、合法的であっても、難解な税金管理戦略や、抜け穴を使いません。Kickstarterは、税率計算に関する複数の要素を説明し、納める税率を透明性をもって報告します。
E
Kickstarterは、環境に与える影響の軽減を模索します。グリーン・インフラストラクチャーへの投資、グリーン通勤手段への支援、また業者選定時に環境に与える影響を考慮します。さらに、Kickstarterは、サービスの性質上、梱包や発送など頻繁に発生する作業において、クリエイターが環境に配慮した選択をする助けになる推薦やリソースを提供します。

内容の続きは、こちら

メリット

以下は、B Labが認証するBコーポレーションのメリットです。B Labが提供する5つのリソースを、国境を超えて活用することができます。

① B Hive(コミュニティ)

世界各国のBコーポレーションリーダーと繋がれるのが最大のメリットです。自社とマッチしたリソースの発見、環境に配慮したプロダクト、サービスの検索、割引等が受けられます。

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② B Corp Brand(ブランディング)

晴れて認証を受けたことを証明する「ロゴ」の使用が正式に可能となり、環境に配慮した経営を行っているというブランディングを公表できます。

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③ B Local&B Corp Leadership Development(ビジネスマッチング)

1つの地域で複数のBコーポレーションが存在する場合、ローカルコミュニティを形成することができます。既に認証を受けた企業同志でのナレッジシェア、ネットワーク構築、カンファレンス(BLD)を開催することが可能です。

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④ B Work(人材採用プラットフォーム)

Bコーポレーション認定を受けた企業のみが集ったプラットフォームへ参加できます。プロフィール掲載、採用広告を出すことが可能で、意識の高い人材を採用でき、ミスマッチングが減少します。

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⑤ B The Change(PR・マーケティング)

パブリッシングプラットフォームMediumで展開されるオンラインマガジン「B The Change」にて、自社のストーリー掲載が行えます。

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「B」が持つ大きな力

国が認めたベネフィットコーポレーションの形態も同じく、環境、社会全体を捉えた経営を行うことは、両認証ともに総じて強固なブランディング、PRに繋がります。

例)アイスクリームブランド BEN&JERRY’Sの商品写真

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突発的なマーケティングには不向きかもしれませんが、年月をかけた企業ブランディング構築には大いに役立つことは間違いありません。21世紀以降に活躍する企業形態としては、日本国内においても益々需要は高まってくるだろうと予測されます。

実際にアジア諸国では、大企業からスタートアップまで活発的にBコーポレーション認定が進んでおり、もはや社会構造が変わろうとする動きも見受けられます。

BコーポレーションASIA公式ウェブサイト

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ASIA各国のBコーポレーション認可国一覧(2020年7月現在)
Afghanistan, Bangladesh, China, Hong Kong, India, Indonesia, Israel, Japan, Korea, Malaysia, Myanmar, Philippines, Russia, Singapore, Taiwan, Thailand, United Arab Emirates, Vietnam

まとめ

2つの特徴と違いをまとめた表です。

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社会構造は、これからどう変わっていくのかー。

戦前より続いてきたキャピタリズムは、西洋諸国を中心に大きく形態を変えようとしています。環境問題や枯渇していく資源の問題は、ことが大きすぎて個人の見解ではあまり馴染みが持てないことは事実です。

しかし、世界全体を見渡すと数多くの社会問題を抱えており、政府の力、またNPOだけでは社会課題解決は到底太刀打ちできなくなってきました。

そして2015年、国際連合が定めたSDGs17つの目標と、それら細かな指標により世界の考え方が今、確実に企業の在り方の定義を変革しようとしています。

Patagonia創業者 Yvon Chouinard(イヴォン・シュイナード)
売り上げの1%を環境保全のために使用するBコーポレーションです。

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生かし、生かされている地球の環境を配慮した企業活動を行うことの重要性に、私たち人類はいち早く気付かなければならないのではないでしょうか。

Bコーポレーション、ベネフィットコーポレーションが企業の社会的役割を改革していこうという試みは今後多くの賛同者を募て、世界中で広まっていくことは間違いないことだと思います。