資本主義の在り方が変わる
日本国内において、現在の資本主義の世の中の構造では、利益最大化、株主至上主義のルールに従い企業活動が行われることにより、お金が第一優先事項として意思決定がなされてきました。儲かることであれば人権、環境、資源の問題を問わず、常に利益最大化を目指すことで、多くの障害が生じてきた結果を認めざるを得ません。
そして今、2015年に制定された持続可能な開発目標(SDGs)が社会全般に広がっている恩恵を受け、大企業から中小企業、スタートアップを含む多くの企業の人々が、地球環境に対してどのように向き合うべきかがようやく問われ始めてきました。
How dare you!(恥を知れ!)
英文翻訳はこちら 参照元:アキラ”s ENGLISH
当時16歳のスウェーデン出身の活動家Greta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)さんが国連で発した”How dare you”は、世界中のメディアで取り上げられ、一躍有名となりました。
インターネット、ソーシャルメディアの台頭により、国境を超えた情報が瞬く間に各個人に届くようになったことで、社会全体の目線は大きく覆ろうとしています。
では一体、世界では民間企業活動の在り方はどのように変わろうとしているのでしょうか。
Social Good!(ソーシャルグッド)ムーブメント
以下、Investopediaより。
ソーシャルグッドとは?
ソーシャルグッドの定義とは、大気、水資源、健康維持など特定の知識を、可能な範囲で大衆に対して恩恵を与えることです。また「コモングッド=公益・良識」は共通語として知られ、古代ギリシャ哲学を遡った暗示を、個人または社会全体に対してポジティブな影響を与えることができると考えられています。What Is a Social Good?
A social good is something that benefits the largest number of people in the largest possible way, such as clean air, clean water, healthcare, and literacy. Also known as “common good,” social good can trace its history to Ancient Greece philosophers and implies a positive impact on individuals or society in general. It also provides the basis for charity or philanthropic work.
主に企業活動を表す時に使われる用語であり、事業の目的そのものや、働く社員との意思疎通を行う際に使われるようです。
ソーシャルグッドな思想を幅広く広めるツールとして相性が良いのが、Instagram、YouTube、Twitter等のソーシャルメディアであり、瞬時に世界へ広がることが特徴です。
Certified Benefit corporationと Benefit Corporation Governanceの違い
2つの認証制度があります。
いずれも「Bコーポレーション」「ベネフィットコーポレーション」と訳され混同されますが、法律や税制面でのルールが厳密には異なります。ただし、実現するミッション、ビジョンはいずれも似たところがあります。
アメリカで始まった制度ではありますが、欧州、アジア各国と世界中で良い会社認定Bムーブメントが広まっています。
Certified Benefit corporation(非営利団体B Labが運営する認証制度)
Benefit corporation Governance(米国の一部で認められた法人形態)
非営利団体B Lab認証「Certified Benefit Corporation=Bコーポレーション」とは
米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体のB Labが運営している認証制度です。これまでに3,393社の会社、日本を含む71ヵ国で認証が進んでいます。(2020年7月1日現在 B Lab 参照)
2007年、スタンフォード大学出身のJAY COEN GILBERT|ジェイ・コーエン・ギルバート(右)と、BART HOULAHAN|バート・ホウラハン(左)によってB Labは設立されました。
The B Economy(ザ・ビー・エコノミー)
Bコーポレーションが事業を行う目的は、”Redefine success in business.
”(ビジネスにおける成功を再定義すること)です。資本主義の在り方を問われるようになってきた昨今の背景から、消費者の意識も変わってきました。
購入、サービスを受ける際には、環境に配慮している企業なのかが問われてきています。差別化を図るべく、厳しい審査を通った企業のみに与えられる小さな『Bマーク』は大きな判断材料となり、威力を発揮します。
これをB Labでは「The B Economy」と呼んでいます。
認証制度
Bコーポレーションを名乗るには、以下の条件が必要です。
①Bインパクト・アセスメントテストの受講(公式ページはこちら)
ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、カスタマーの5つの分野で構成される200点満点の認証試験において、80点を獲得することが合格選定基準となります。事業規模や業種によりテスト内容は異なります。
テストを受けることが目的ではなく、如何に事業のアップデートを行い、ソーシャルグッドな社会実現に向けて活動できるかにフォーカスが当てられています。
STEP1 テストを受ける(90分弱)
テストを受けた後、B Labからスコアが返送されます。(80点以上マスト)
STEP2 レビューとベンチマーク(比較)
テストスコアを他社(Bコーポレーション)と比較します。
可視化したスコアを社員とシェアし、意思疎通を行います。
STEP3 改善する
スコアを伸ばせるよう、ロードマップの改善と努力を行います。
また、B Labからは無料の診断ツールも提供されています。
②定款文書の変更(公式ページはこちら)
国によりB Labのルールに則り、定款文書を変更する必要があります。
日本企業の場合、企業形態や定款を変更をする必要はないと記載がありますが、こちらの契約書にサインすることが義務付けられています。
③レポートの提出(2回/年)
晴れて認証を受けた後からは、年2回のレポート提出が義務付けられています。レポートはB Lab公式ウェブサイトで一般公開され、透明性が保たれます。なお認定後も、社会状況は常に変化することから3年に1度アセスメントテストを再受講し、80点以上のスコア獲得がマストとなっています。
Patagonia, Inc.の2018年レポート(クリックで詳細閲覧)
④年会費
事業で得た収益の規模に応じて年会費を納めます。
以下は北米の基準です。(費用は各国で異なります)
〜メモ〜
B Labは各国にグローバルパートナー制度を展開しています。日本はアーリーステージとして位置付けられており「B Market Builders」制度が設置されています。日本語でのサポートが受けれます。
Bコーポレーションの代表例
【日本】
2020年7月現在、日本では5社が認定を受けています。
株式会社シルクウェーブ産業 群馬県 桐生市 (スコア93.9/200)
プラズマチタン技術で新素材開発、絹シルクウェーブ技術で新素材開発
石井造園株式会社 神奈川県 横浜市 (スコア81.9/200)
公共施設工事・植栽工事、民間企業マンション外構工事、植栽、緑地管理
フリージアハウス株式会社 東京都 千代田区 (スコア81.4/200)
ログハウス、スウェーデン住宅の設計・施工・販売、家具販売
日産通信株式会社 東京都 江東区 (スコア88.3/200)
移動体工事、アクセス工事、セキュリティ工事
株式会社泪橋ラボ 東京都 台東区 (スコア83.3/200)
国際協力、保健・社会福祉、その他・非営利活動に係る調査実施
【海外】
記載した海外企業は、B Labトップページ掲載企業より抜粋しています。
Greyston Bakery, Inc. アメリカ ニューヨーク州 (スコア137.8/200)
ブラウニーの製造、販売
Patagonia Works アメリカ カリフォルニア州 (スコア151.4/200)
アウトドアブランドの製造、卸、販売
Cascade Engineering アメリカ ミシガン州 (スコア140.7/200)
工業用プラスチックの製造
Natura Cosméticos SA ブラジル サンパウロ州 (スコア120.3/200)
化粧品ブランドメーカー、製造業
New Belgium Brewing アメリカ コロラド州 (スコア136.5/200)
ビールの製造、販売
まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
社会全体に対して呼びかけが必要なため、地道な草の根運動がBコーポレーションにとっては必要なようです。そのためYouTubeやインスタグラム等のソーシャルメディア、またBコーポレーションで活動している人々、*ツールを使用しているに人にフォーカスを当てたコンテンツを発信して拡散をしている様子です。
*SDGs Action Manager
SDGs目標達成に向け業績を見える化するツール
次回の記事では、もう一つの形態「Benefit Corporation Governance」について紹介します。