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道徳ある経済ーソーシャルビジネスとは2

Aug 29, 2020 | social business

前回の記事ではソーシャルビジネスの生い立ち、国の制度、そして実際のソーシャルビジネスに取り組む企業を紹介しました。

道徳ある経済ーソーシャルビジネスとは1

今回はソーシャルビジネスと似て非なる、ボランティアやCSR、そしてNPOとの違いについて紹介します。

ボランティア、CSR、NPOの大きな違い

ボランティア活動や企業のCSR、また非営利団体(NPO)等の活動それ自体は、社会の課題を解決することに向けて活動していることには間違いありません。ではソーシャルビジネスとそれら取り組みは、一体何が異なるのでしょうか。

大きくその仕組みと目的です。

ボランティア

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コトバンクによると無償で自発的に社会活動に参加したり、技術や知識を提供したりする人、またはその活動のことを指します。ボランティアの理念として、自分から行動すること、ともに支え合い協力し合うこと、見返りを求めないこと、よりよい社会の実現を目指すこと、と定義されています。また活動資金は、寄付や行政からの助成金が主な財源となっています。

ボランティア事例_手作りマスク

キッズレディースブランドninoを展開するスリーアローズ株式会社(大阪市・中央区)は、子供達の新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、手作りマスクボランティア裁断を地域コミュニティと協働して行いました。

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大阪福島区内18園の保育園・幼稚園の子どもたち・保育士さん達に1,901枚、その他2,000枚近くを超えるマスクをお届けすることができ、喜びの声が多数寄せられたそうです。

基本的にボランティア活動とは、自分でできることを自分の意志で周囲と協力しながら無償で行う活動のため、金銭のやり取りは発生しません。

保育園マスク

CSR(Corporate Social Responsibility)

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大企業が取り組んでいる事例が多く、本業である事業とは別に社会的責任を果たすために行われることであり、必ずしもCSRを目的に企業活動を行っている訳ではありません。

CSRでは余剰利益を使って活動するケースが多く、活動自体から単体利益をを得るのではなく、CSR活動を通して企業のイメージアップ、ブランディング向上に繋げることで一般投資家や消費者に高感度を持ってもらうために行われています。

CSR事例_エコバッグ・ペニー

欧州ではアジア諸国と比較すると、SDGsやソーシャルビジネスに対して市民や民間企業が盛んに取り組んでいます。ドイツの庶民派スーパーマーケットPENNYは、エコバッグ使用で環境保全を消費者へ促すと同時に、スーパーの売上を上げる仕組みを考え出しました。

THE PENNY GIVE BAG

仕組みはと言うと、消費者はPENNYでお買い物をすると10セントが都度キャッシュバックされます。そしてスーパー側は地域の社会福祉組織に10セントを寄付します。

PENNYはエコバックキャッシュバッグ単体だけだと事業収益は得られませんが、モノを直接販売して売上を上げるのではなく、環境に配慮した企業ブランドをCSRで打ち出すことで、消費者の心を掴みリピーターを増やしています。エコバッグを使うことで寄付が行われ、消費者にとっては自分は地域活動に貢献しているといった”心理的な充足を満たす”ことも大きなメリットとなっているそうです。

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見た目もデザイン性に富んでおり、ファッションとしても人気がある

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NPO(Non Profit Organization)

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特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成10年12月に施行されました。

法人格を持つことによって、法人の名の下に取引等を行うことができるようになり、団体に対する信頼性が高まるというメリットが生じます。

アメリカ「ジョンズ・ホプキンス大学非営利セクター国際比較プロジェクト」がNPOを定義し、現在はそれが国際基準となって考えられています。

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① 非営利(non-profit)
利潤を分配しないこと。ただし、活動の結果として利潤が発生しても、組織本来のミッション(慈善的目的)のために再投資すればよい。
② 非政府(non-governmental, private)
民間の組織であり、政府から独立していること。ただし、政府からの資金援助を排除しない。
③ フォーマル(formal)
組織としての体裁を備えていること。
④ 自立性(self-governing)
他組織に支配されず、独立して組織を運営していること。
⑤ 自発性(voluntary)
自発的に組織され、寄付やボランティア労働力に部分的にせよ依存していること。
⑥非宗教性
宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することが主たる目的とするものでないこと。
⑦非政治性
政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。

英語文献はこちら

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特定非営利活動とは
特定非営利活動(NPO)とは、以下20種類の分野に該当する活動を指し、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とするものです。

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
五 環境の保全を図る活動
六 災害救援活動
七 地域安全活動
八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
九 国際協力の活動
十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十一 子どもの健全育成を図る活動
十二 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

NPOの事例_ホームレスを生み出さない日本に

「ホームレス状態を生み出さないニホンに」をビジョンに事業を展開するのは、大阪市北区に本社を構える認定NPO法人Homedoorです。NPO法人の特徴は「寄付制度」です。NPO法人の財源には会費、寄附金、補助金・助成金、事業収入があり、事業に関する収益の財源別構造収益の内訳をみると、認定・特例認定法人では「寄附金」(15.9%)が「事業収益」(67.9%)と、組織を運営していく上では貴重な財源となっています。

内閣府NPOホームページ
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NPO法人Homedoorでは、事業にかかる経費を「寄付」「個人サポーター」「法人サポーター」から賄い、事業を運営しています。事業で得た収益は出資者に分配するのではなく、事業に再投資されるのが特徴です。

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まとめ

一般企業が行う事業活動とソーシャルビジネスの違いそれは「目的」です。利益を最大の目的とするのか、それともビジネスを手段として社会課題を解決するのを目的にするのか。

はじめに取る選択肢で、使える制度なども大きく違ってきます。

廃漁網から作るスケートボード「Bureo
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NPOとソーシャルビジネスの大きな違いそれは「外部資金に頼らない事業形態をデザインできているか」です。イコール持続可能なビジネスモデルができているかが見極めのポイントになります。